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RWBY: Roman HolidayはScholastic社から出版されたRWBYの小説で、本編 Volume 1より前の時期のローマン・トーチウィックニオポリタンを主人公とした物語が描かれた作品である。2021年9月7日に発売された。著者によると、本作の結末からVolume 1の開始までは3~5年の開きがある[1]

最初の2つの章が含まれたプレビュー版は2021年8月5日に公開された。

ストーリー[]

トリヴィーア・ヴァニルは、自身の8歳の誕生日の早朝、イマジナリーフレンドのニオポリタンと共に鬼ごっこをして家の中を駆け回っていると、居間にあった高価な花瓶を落として割ってしまう。物音を聞いて両親が入ってきたとき、ニオポリタンの姿は消えており、トリヴィーアはソファの下に隠れるが、父親のジミー・ヴァニルが彼女を引っ張り出す。彼は娘を叱り弁明の言葉を求めたが、トリヴィーアの口からは息が漏れる音がするのみであった。母親のカーメル・ヴァニルが夫をなだめつつ、娘に何をしていたのかと聞くと、トリヴィーアは筆談用のボードに"Neo"の文字を書く。娘のイマジナリーフレンドの名前を見た父親は呆れ、さらに彼女を叱ろうとするが、母親は主治医の言葉なども交えて娘をかばう。その後、両親は花瓶の欠片を片付けるよう娘に言いつけ部屋を出て行く。一人になったトリヴィーアの前には再びニオポリタンが現れ、悪びれる様子もなく花瓶の欠片を踏んづけてさらに粉々にしてしまう。はじめはその行動を止めようとしたトリヴィーアだったが、ニオに誘われる内に一緒に花瓶を粉々にしてしまう。

18歳のローマン・トーチウィックは、ミストラル下層にあるナイトクラブの前で客を物色していた。彼はクラブから出てきた裕福そうな男を人気のない路地裏に誘い込み、そこで彼を痛めつけた上で、コートなどの衣服を奪う。そこにリル・ミス・マラカイトの部下の二人が現れ、彼女が取り仕切る店の上客に手を出すなとローマンに迫る。ローマンが拒否したため二人は彼に襲い掛かるが、ローマンは彼らを返り討ちにした。後日、ホテルに滞在するローマンのもとに、リル・ミスの部下が大挙し、彼をリル・ミスのもとまで連行する。ミストラルで実質的にレオナルド・ライオンハート次ぐ権力を持つリル・ミスを前にしても、ローマンは普段の態度を崩さず、彼女の部下よりも自分の方が有能であると述べる。ローマンの素質を見抜いたリル・ミスは脅しも交えて彼に部下になるよう迫り、ローマンは渋々これを受け入れた。

トリヴィーアが12歳のときのある夜、ジミーの新ビジネスの成約を祝うパーティが開かれる。娘のことを世間に知られたくない両親は、彼女に部屋にいるよう命じたが、外に出ようと提案するニオポリタンに従い、トリヴィーアは密かに家を抜け出す。彼女は生まれて初めてヴェイルの商業区域を一人で訪れ、お祭りのように賑やかな街並みに目を輝かせる。しかし、彼女は3人の少女に絡まれ、笑いものにされてしまう。それをきっかけにトリヴィーアはセンブランスをパワーアップさせ、現れたニオポリタンが3人の内の一人を殴りつける。騒ぎが大きくなったことで警官も駆けつけ、彼女は警官に保護されて家まで送り返される。出迎えた母親は、父親に見つからない内に部屋に戻れと娘に言いつけるが、そこで再度ニオの誘いに応じたトリヴィーアは、パーティ会場に向かい、以前より強力になったセンブランスを使ってパーティを大混乱に陥れる。激怒する父親を見て我に返った彼女は、またしてもニオのせいでひどい行動を取ってしまったと思ったが、さらに深く考えると、その日の行動を自分は何一つ後悔していないということに気付く。トリヴィーアは、自身がニオの影響を受けて変わりつつあるということを認識し始める。

リル・ミスの部下になってから4年が経った頃、ローマンは彼女から信頼されるようになり、娘のメラニーミルシャ・マラカイトのお守を任されるようになっていた。ある日、スパイダーとある犯罪組織との抗争中に二人のお守を任されたローマンは、やりたい放題に振舞う彼女たちに辟易していたが、そこに相棒のカメレオンから、その組織のボスの居場所に関する情報が入る。リル・ミスに先んじて行動することで自分の利になると判断した彼は、メラニー、ミルシャも巻き込んで敵地に乗り込むことを計画し、屋内に閉じ籠っていることに飽き飽きしていた二人もこれに応じた。ローマンは相手組織のアジトを訪れ、ボスのポール・パロットに寝返りに来たことを話すが、全く信用されず、姉妹共々、彼が密かに保有しているカピバラ形のグリムと戦う羽目になる。しかし、ローマンは特注していた武器のメロディック・カジェルを使ってこのグリムを圧倒する。最後にはグリムの方が逃げ出し、パロットのアジトは壊滅した。敵組織を潰すことに成功したローマンだが、リル・ミスに事の顛末を知られ、娘たちを巻き込んだことと、秘密裏に行動したことを厳しく糾弾される。しかし、結果としてローマンは姉妹のお守の役目から解放されるという真の目的を果たすことに成功した。

15歳になったトリヴィーアは、学校には行かずに、家庭教師による授業を受けるようになっていた。ある日、彼女は教師が飲む紅茶に睡眠薬を混ぜて眠らせ、センブランスで彼女に化ける。そして、教師の車を運転し、ニオポリタンと共に街にショッピングに出かけた。トリヴィーアは、センブランスを悪用してあちこちの店で衣服を盗み、車いっぱいに積んだ状態で夜遅くに家に帰宅した。彼女は家で警察が待っていることを予想していたが、家は静まり返っており、書斎でジミーがどこかに連絡をしていた。トリヴィーアは、様子を探るため母親の姿を偽装して父に近づくが、彼には見破られてしまう。そしてジミーは、娘が服を盗んだ全ての店には被害の2倍の額で補償をしたことを明かす。自分の手で大きなことをしたと思っていたトリヴィーアは、またしても父親の手のひらの上だった事実に憤慨し、持っていたパラソルを槍のように構えて父親に投げつける。ジミーは右目の上辺りを怪我し、驚きと怒りの表情を見せた。彼は、何を考えているのかと娘を怒鳴りつけるが、トリヴィーアは父親を傷つけたことに対して後悔や謝罪の念を一切抱かなかった。それどころか、彼女は生まれて初めて父親に一泡吹かせたことに満足していた。

ローマンは上納金を取り立てにある修理屋を訪れる。店主は支払えるだけの金は無いから待ってくれと懇願するが、ローマンは店に置いてあるコンピューターなどを破壊しながら彼に迫る。そして、店主を捕まえて彼の膝を砕こうとしたときに、カメレオンが現れ、ローマンを止める。彼女はローマンが上納金の二重取りをしていることを指摘し、そのためにリル・ミスから彼を始末するよう指示が出ていることを話す。二人はしばらく店の中で戦い、ついにはローマンがカメレオンを組み伏せ、彼女に銃口を向けるが、そこでカメレオンは、他の追手が集まってきていることを告げる。ローマンは彼女を気絶させたあと、店から脱出し自身の隠れ家に戻る。もはやミストラルには居られないと考えた彼は、少しの思案のあと、ヴェイルに逃げることを決めた。

父親を傷付けてから約3年が過ぎ、トリヴィーアは外から鍵を掛けられた部屋に半ば監禁される状態になっていた。彼女はピッキングの技術を身に付けるが、鍵はどんどん複雑になり数も増えていく。その日も、彼女はピッキングで部屋の中から次々に鍵を開けていくが、最後の1つがどうしても開けられず諦めかける。そこで、ニオポリタンの提案で即席の火炎放射器によって鍵穴の金属を歪ませようとするが、予想以上に強力な炎によってドアに火が付き、さらに部屋中に燃え広がってしまう。彼女は何とか窓から脱出するが、家は燃え盛る炎に包まれる。そこに外出していた両親が戻り、カーメルはトリヴィーアが無事だったことを喜ぶが、ジミーは燃える家を見て異常なまでに取り乱す。原因を聞かれたトリヴィーアはその場にいたニオを指さすが、それを見た両親は、ニオは本物の人間ではなく全てトリヴィーア本人の責任だと怒鳴る。そしてカーメルがニオを平手打ちにすると、その姿は細かな粒子となって消えていった。そのときトリヴィーアはニオが永久に消えてしまったように感じて崩れ落ちるが、同時にニオは自分が望んでいた姿であり、自身の一部であったことに気付く。カーメルは、もはや娘は家にいるべきではないと判断し、より良い人間となってもらうため、ある場所に送ることを決める。

ヴェイルに移ってきたローマンは、ビーコン・アカデミーがよく見えるマンションの最上階の一室を契約する。ミストラルでの稼ぎをすっかり使い果たした彼は、金策とヴェイルの裏社会に自分の名を売ることを兼ねて、ヴェイル第一銀行を襲撃することを計画する。決行日、彼は銀行までの道のりで人々の財布をすり、代わりに懐に自分の名前入りのカードを残していく。昼過ぎに銀行に着いた彼は、覆面もせずに堂々と窓口に向かい、銀行にある金を全てよこせと要求し、取り押さえようとする警備員も叩きのめす。そこに入ってきた二人のハンターがローマンと戦うが、彼を倒すことはできず、最後にはハンターの一人が持っていたダストの小瓶が爆発。銀行内が大混乱に陥る中、ローマンは金を持って逃走した。自室に戻った彼がTVを付けると、彼の思惑通り、ニュースにて銀行強盗と財布をすって名前入りのカードを残した男との関連が報道される。さらにビーコン・アカデミー学長であるオズピンの、ローマンへの警告のメッセージも報道されるが、ローマンはそれを気にも留めず、次の日も別の銀行を襲うことを考えていた。

トリヴィーアは母親に連れられ、ブラウニング女学院という全寮制の学校を訪れる。そこは、かつて母親も在籍していた学校で、学長のベアトリクス・ブラウニングはトリヴィーアが言葉を話せないことも問題にせず、彼女の入学を許可した。学長は高齢だったが、長身で堂々とした立ち振る舞いとセンスの良い服装にトリヴィーアは目を奪われる。最初は家に戻りたいと考えていたトリヴィーアだったが、学長と会ったあとは、新しい生活にわずかながら期待を抱くようになっていた。

銀行強盗の次の日、ローマンは自宅前に一晩中止まっていた車に近寄り、中に乗り込む。そして中にいた警官の恰好をした二人に、彼らのボスのもとに連れて行ってほしいと告げる。ローマンの予想通り、彼らは警官ではなく、車はヴェイル市内のレストランへと向かう。そこで彼を待っていたのは、ヴェイルの裏社会を牛耳るション・ファミリーのボスである、ヘイ・ションであった。二人はしばらくローマンの目的などについて話をするが、ローマンがミストラルから来たことと腕にクモの入れ墨があることから、スパイダーの構成員だと判断したションは、彼を追い出すよう部下に命じる。ローマンは抵抗するが、結局最後までションとの話は平行線を辿ったままレストランを後にする。彼はその後、クモの入れ墨を消すためヴェイルのタトゥー・パーラーを訪れるが、そこで、入れ墨を消さずにパンプキンの形に変えることを提案され、それを了承した。

ブラウニング女学院での寮生活は、同世代の女子との共同部屋でプライバシーが無く、自由な行動も許されないもので、トリヴィーアは数日もしない内に家に帰りたいと考えるようになる。さらに、彼女は生徒たちのボス的存在であるマラカイト姉妹からも目をつけられたため、友達になるような者もいなかった。授業も大抵はトリヴィーアにとって退屈なものだったが、体操やフェンシング、バレエといった身体を動かすものについては彼女は得意としており、それだけが学院内での唯一の楽しみとなった。3か月が過ぎたある朝、マラカイト姉妹の仕組んだ悪戯により、トリヴィーアは授業に遅れた上に制服をズタズタに切り裂かれてしまう。一時はセンブランスでそれを乗り切り、学長にマラカイト姉妹のことを報告するが、学長は二人を罰することはなく、自力で解決するようにと返答する。そこでトリヴィーアは縫い物の授業中に、切り裂かれた制服を縫い合わせた上で好みの形にアレンジし、動きやすくスタイリッシュな制服に作り替えた。作り終えたあと、彼女はその服に着替え、服に合うよう髪の半分をセンブランスでピンク色に変える。すでに消灯時刻も近づいていたため部屋に戻ろうとするが、途中で普段とは異なる服装のマラカイト姉妹が外出しようとするところを目撃し、密かに後をつける。姉妹は市内のあるナイトクラブに入っていき、トリヴィーアが中の様子を伺っていると、窓を割りながらローマンが飛び出してくる。さらに、彼を追って姉妹が店の中から現れ、しばしの会話のあと交戦し始めた。しばらく隠れていたトリヴィーアは、意を決してこの戦いに介入しようとしたが、そこに走ってきた3台の車がローマンを取り囲んだ。

取り囲まれたローマンは、マラカイト姉妹の後方の路地から見知らぬ少女が手招きしていることに気付く。彼は訝しむが、他に選択肢がないため、メロディック・カジェルの炸裂弾で相手をひるませつつ路地に逃げ込む。その先は行き止まりだったため、ローマンはその少女、トリヴィーアにどうするのかと尋ねると、彼女は二人の前に偽の壁を作り出す。追手が二人を見失って辺りを探していると、トリヴィーアはさらに逃げるローマンの姿を作り出し、彼らがそちらを追うように仕向けた。その後、トリヴィーアはローマンに逃げるようジェスチャーで示し、ローマンはそれに従う。他人に借りを作ることを嫌うローマンは、逃げる途中、後日彼女を見つけ出して会う方法について考えていた。

次の日、トリヴィーアはブラウニング学長の授業中にローマン・トーチウィックのことを調べ、彼が世間を騒がせている犯罪者であることを知る。授業後に学長に呼ばれたトリヴィーアは、制服を作り替えたことや髪の色の変えていることを叱られると思っていたが、学長は意外にもそれらを咎めることなく、むしろトリヴィーアの行為を褒める。彼女は、トリヴィーアには素晴らしい素質があると言い、上のクラスへと移ることを提案する。また、彼女はトリヴィーアがローマン・トーチウィックに興味を持っていることを知っており、学院の存在を危うくする者であるため彼を捕らえる協力をして欲しいと持ち掛ける。いずれもトリヴィーアにとって願ってもいない申し出だったため、彼女はすぐにこの話を受け入れた。これによって、トリヴィーアは個室に移ることを許され、さらに授業の内容もより彼女好みのものとなった。ある日、彼女は新しい生活やローマンを調査するために必要なものを万引きしに街へ出かけたが、その帰り道に何者かにつけられていることに気付く。それはローマン・トーチウィックその人であり、彼はトリヴィーアに感謝の言葉を述べ、彼女の名前を聞く。トリヴィーアは自身の情報を明かすことを避けるため、スクロールを使ってニオポリタンと答えるが、同時にそれこそが自分の名前であるように感じていた。ローマンはトリヴィーアが喋らないことを一切気にせず、話をするため彼女をお茶に誘った。

ローマンとニオポリタンはティールームに向かい、そこでローマンはニオを見つけた方法や、自身の生い立ち、リル・ミスとの関係などを話す。ニオは自身のセンブランスを披露し、ローマンはこれを高く評価する。そこで彼は、リル・ミスがヴェイルにも勢力を伸ばそうとしているという噂のことを話し、何かしら関係があるはずのマラカイト姉妹のことを調査してくれないかとニオに依頼する。しかしニオは、学院から追い出されるリスクを負いたくないとして断り、ローマンもあっさりと引き下がる。ニオは謝罪した上で、万引きした品の中から、ローマンがマラカイト姉妹との戦いの最中に落とした帽子とよく似たものを彼にプレゼントする。ローマンはこれを快く受け取り、気が変わったらいつでも来て欲しいと告げた。どうやってローマンの居場所を見つけるのかと疑問のジェスチャーを見せるニオに、彼は、今度はニオの方が彼を見つけてみろと答えて帰っていった。

ニオポリタンは護身術の授業のあと、マラカイト姉妹に誘われ、一緒に昼食を取ることになる。姉妹は今までの行為を詫び、これからは仲良くなりたいという態度を見せる。ニオは表面上それを受け入れたように見せかけ、彼女たちが学院を夜に抜け出す許可を得ていることなどを聞き出す。その話から、ニオはマラカイト姉妹もローマンを捕らえる任務を与えられているのではないかと推測する。姉妹はその日の夜にクラブに一緒に行かないかとニオを誘ったが、ニオは宿題があると言ってそれを断った。

その日、ニオポリタンはリル・ミス・マラカイトの姿を偽装してローマンの自宅を訪れる。ローマンは一瞬、血の気が凍り付いたが、状況の不自然さからすぐにそれがニオであることに気付いた。どうやって居場所を突き止めたのかと問うローマンに、ニオはプレゼントした帽子の羽飾りに発信器が付けられていたことを種明かしする。ローマンは彼女の抜け目なさに感心し、さらに彼女が協力者になる意思を持っていることに喜ぶ。学院で何を習っているのかと尋ねたローマンに、ニオは持っていた傘でフェンシングのジェスチャーを取る。この日から数カ月の間、ニオは毎日学院での授業のあとにローマンのもとに通って彼の持つ技術を全て学んでいく。数か月後のある日、ローマンのもとに、彼が密かに特注させていた武器が届く。それはニオがずっと欲しがっていた、刃が仕込まれたであった。そしてニオの方も、ローマンに黙って作っていた二人の衣装を彼に披露する。ローマンは、特注の武器のために有り金を使い果たしたことを明かし、二人で大きな犯罪計画を行うことをニオに持ち掛けた。それは、ヴェイル中のコーヒー豆を強奪し、それを独占価格で売り捌くという計画であった。

ローマンとニオポリタンは、数週間のリサーチによってヴェイル一のコーヒーチェーンの倉庫を突き止め、計画を練り上げた。決行日の夜、ローマンは倉庫に忍び込むが、アクシデントにより警報を作動させてしまう。そこに現れたのは、かつてローマンが銀行で戦った元ハンターで、彼の攻撃によってローマンは窮地に陥る。倉庫の近くのトラックでローマンからのメッセージを待っていたニオは、倉庫から響いた銃声を聞いて彼に何かあったことを悟り、トラックごと倉庫に突入する。トラックは元ハンターを巻き込んで倉庫の柱にぶつかって停止。二人はトラックにコーヒー豆を積めるだけ積み、警察が来る前に脱出した。その後、倉庫は柱が折れたことで倒壊し、残っていたコーヒー豆も全て台無しになったため、二人は強奪したコーヒー豆を高値で売り捌くことに成功した。

ニオポリタンがいつまで経ってもローマンの情報を報告してこないことから、ブラウニング学長は業を煮やし、3日以内に情報を持ってこなければニオを放校にすると告げる。ニオは学長の狙いを探るため、彼女の外出時を見計らい、彼女がいつも一人で籠っている部屋に忍び込んだ。そこは意外にもコンピュータ端末が並ぶ部屋で、ニオが端末を操作すると、画面には複数のカメラ映像が映し出される。それは、ニオ自身も身に着けていた、制服の胸元のピンに隠されたカメラからの映像であった。そのピンは学院の生徒のみならず、卒業生も身に着けているもので、それによってブラウニング学長はヴェイルの政界や経済界を密かに監視していたのであった。ニオは、その映像が想像もつかないほどの価値があることと、自身の今までの行動も全て学長に筒抜けであったことに気付く。彼女はローマンにメッセージを送って警告したあと、その端末のハードドライブを取り出して部屋を出る。しかし、部屋の前にいたマラカイト姉妹に見つかってしまい、二人はニオに襲い掛かる。戦いの最中、メラニーはリル・ミスがローマンを追ってきていることを告げ、彼に味方しても無駄だと説く。ニオは何とか二人を振り切って外に脱出し、スクロールを確認すると、先ほどローマンに送ったメッセージは相手に届いていないことが示される。ローマンの身に何かあったと判断したニオは彼の家に急行する。

その日、ローマンが次の犯罪計画を考えているところに、彼の家のドアを誰かが叩く。確認するとそこにはリル・ミス・マラカイトが立っており、ローマンはまたしてもニオポリタンの悪戯だと考えたが、次の瞬間銃撃によってドアが破壊され、リル・ミスとブラウニングが家の中に入ってくる。ブラウニングはトリヴィーアのおかげでローマンの居場所が分かったと話し、ローマンを捕らえる協力をすることで合意したときの映像を彼に見せる。騙し合いの世界に生きてきたローマンだったが、ニオが敵であるという事実を突き付けられたことには動揺を隠せなかった。リル・ミスは、ローマンをミストラルに連れ帰って処分を下すと告げ、なだれ込んできた彼女の手下たちによってローマンは為す術なく捕らえられ、車に詰め込まれた。

ローマンの家に着いたニオポリタンは、家の惨状を見て彼が連れ去られたことを知る。彼女は家の外に止まっていたパトカーに近づき、警官に状況を説明して協力を求める。名前を聞かれたため、彼女が素直に本名を答えると、警官は彼女を乗せてパトカーを走らせたが、着いた先は警察署ではなく"Junior's"と書かれたバーであった。そこでニオを待っていたのはヘイ・ションで、彼はジミー・ヴァニルと友人であり、トリヴィーアのこともよく知っていると話す。彼は、自身のビジネスにジミーを協力させるため、その娘を部下に探させていたと説明する。ニオは、ブラウニングが密かにヴェイル中の映像を集めていることと、そこにリル・ミスが関わってヴェイルを牛耳ろうとしていることを説明する。その場にいたヘイ・ションの付き人のステラもブラウニング女学院卒業生のピンを身に着けており、ヘイ・ションはそこに実際にカメラが仕込まれていることを確認する。彼は激怒し、ステラにブルヘッドを用意するよう命じる。ステラが部屋を出て行ったところで、ニオはヘイ・ションの隙をついて武器を突き付け、彼を縛り上げてソファに詰め込んだ。ニオはヘイ・ションの姿になり、戻ってきたステラと共にブルヘッドに乗り込む。行き先を聞かれた彼女はスクロールを取り出し、追跡ソフトの地図を見せる。しばらくして、ブルヘッドがリル・ミスの護送車に追いついたところで、ニオは突然カーゴのハッチを開けてステラやヘイ・ションの部下たちを外に放り出し、機体をジャックした。

ローマンは護送車の中で手足が縛られた状態で目を覚ます。しばらくするとスパイダーの構成員たちが、護送車の上空に1機のブルヘッドが近づいてきたことについて騒ぎ出す。さらにそこから少女が護送車の上に飛び乗り、武器で屋根に穴を開けて中に入る。すぐにローマンを確認した彼女は、素早くスパイダーの構成員をあしらって彼の拘束を解いた。二人は銃撃の雨を防ぎつつ、ニオポリタンが護送車に結んでいたロープを辿ってブルヘッドに戻る。ローマンはニオが敵ではなかったことと、またしても彼に発信器を仕掛けていたことを知って笑みを浮かべた。また、ローマンはハードドライブのデータのことを聞き、今や二人はリル・ミス、ヘイ・ション、ブラウニングたちの全てから狙われる存在になったことを理解する。どこに向かうか悩む様子のローマンを見て、ニオは意を決したようにある場所に向かうことを決める。

二人を乗せたブルヘッドはヴァニル邸の敷地に入り、庭に着陸する。家からジミーとカーメルが現れ、ジミーは私有地にブルヘッドを停めたことに対して大声で文句を言うが、中から出てきたニオポリタンとローマンを見て困惑する。ニオが、ローマンのことを真の友達だと紹介すると、ジミーはさらに文句を言おうとするが、カーメルはニオを抱き締め、二人を家に入れることを認める。ジミーとカーメルは二人を居間に通し、お茶を出す。ローマンはニオの実家がヴェイル有数の金持ちであることに驚き、そこからジミーがヘイ・ションとの取引で財を成したことを指摘する。ローマンとジミーは口論になりそうになり、ニオは家を出ようとローマンに訴えるが、そこで彼女は突然身体が動かなくなり倒れこんでしまう。ローマンもソファの上で動かなくなり、ジミーは娘を抱き抱えて部屋の外へ運び出した。

ジミーとニオポリタンが出て行ったあと、カーメルは動かないローマンを前に独白を始める。彼女は、ブラウニングの行いについて全て知っており、今までの娘の動向も全て把握していたことを明かす。そして、ハードドライブとローマンをリル・ミス達に手渡すことで、ヴァニル家にとって邪魔なヘイ・ションを排除してもらえば、代わりに自分たちがヴェイルのダスト取引を担うことができると語った。そこまで聞いたローマンは突然立ち上がり、カーメルの口と鼻を抑えて失神させる。彼は、出されたお茶は警戒して飲んでおらず、油断させるために動けない振りをしていたのであった。そこに戻ってきたジミーは倒れている妻とローマンを見て驚き、ポケットから銃を取り出そうとするが、ローマンは素早く杖で彼の頭を殴り昏倒させる。ローマンは、リル・ミスとヘイ・ションの両方を排除する方法を考えながら、ニオを探しに向かった。

その数分前、ジミーはニオポリタンを運び、もともと彼女の部屋だった一室に向かう。その部屋のドアは以前にも増して厳重なセキュリティが施されており、さらに窓も全てハードライト・ダストで強化されていた。ジミーは娘をベッドに寝かせて出ていき、再度ドアをロックする。ニオは意識だけははっきりしており、彼女の耳には、外でヘイ・ションとリル・ミスの手勢が交戦している音が響いていた。身体が動くようになったあとも部屋の外には出られなかったが、しばらくしてローマンが部屋を見つけ出し、彼女を助け出す。ローマンは窮地を脱するためにコンピューターが必要だと言い、ニオが父親の書斎に案内する。ローマンがコンピューターにハードドライブを繋いで何かの作業をしている間、ニオは以前の火事の際に異常に取り乱していた父のことを思い出し、再度部屋に戻る。すると、そこでは意識を取り戻したジミーが娘のベッドをどかし、床から大きな箱を取り出していた。娘を見たジミーは、それが切り札として長年かけて貯めこんだダストであることを明かす。以前の火事で彼が心配していたのは、この大量のダストに引火して大爆発することであった。ジミーは娘を再度捕まえようと近づいてきたが、ニオは素早くマッチを取り出し、火を付けてそれを投げつける。ジミーが慌ててそれを受け止めている間に、彼女は部屋を出て外からロックし、父親を部屋に閉じ込めた。

ローマンはハードドライブのデータを公表するため、ヴェイル・ニュース・ネットワークに電話をかけ、堂々と自分の名前を名乗った上でリサ・ラベンダーにハードドライブのことを話す。リサはこのスクープに飛びつき、データを受け取るためのアドレスとパスワードを知らせると返した。その間、ニオはローマンの姿になり、家の中に入ってきたヘイ・ションとリル・ミスの部下たちを上の階へ引き付ける。彼女はローマンの姿をした幻像を残し、ローマンのもとに戻って二人で家を出る。外に出た二人はブルヘッドのスポットライトに照らされたが、ニオは既に二人の姿をジミーとカーメルに偽装していた。さらに彼女はブルヘッドに乗るリル・ミスに向かってアピールし、屋敷の一室を指さす。そこはダストが隠されていた部屋で、窓にはニオとローマンの幻像が立っていた。ブルヘッドはその一室に向かってミサイル攻撃を始め、ニオとローマンはその間にジミーの車に乗り込んで逃げる。ハードライト・ダストによる防護が施された部屋でもミサイル攻撃にはひとたまりもなく、次の瞬間、閃光と共に屋敷は大爆発した。

猛烈な爆風によってリル・ミスの乗っていたブルヘッドは制御を失い、どこへともなく流されていった。ローマンとニオポリタンの乗った車も爆風で飛ばされ、二人は車外に投げ出される。二人はお互いが無事だったことを確かめたあと、大爆発によって見る影もなく崩壊した屋敷を目の当たりにする。ニオは両親がもはや生きてはいないことを認識し、同時にトリヴィーア・ヴァニルという人物も消え去ったと感じていた。二人は屋敷まで乗ってきたブルヘッドがまだかろうじて動くことを確認し、中に乗り込んであてもなく飛び立つ。ローマンは、ニオに対して改めてパートナーとなる意思があるのかどうかを確認し、ニオは態度でそれに応える。彼女は、ずっと求めていた自由がようやく手に入ったことを実感していた。


キャラクター[]

初登場キャラクター[]

  • ジミー・ヴァニル
  • カーメル・ヴァニル
  • ベアトリクス・ブラウニング
  • ハニー・ワイン
  • ブリック
  • モータル
  • クッキー
  • マグ
  • ヘザー
  • アラド
  • クラウド
  • カメレオン
  • ジャック・プラム
  • バジャー
  • ポール・パロット
  • オーレリア
  • ビスク
  • ミズ・バーガンディ
  • フレッド
  • カンディ・フロス
  • ロック・サルト
  • チュー
  • ダン
  • マット・ルーニー
  • カーネーション
  • ヘイ・ション
  • ルー
  • ヴェロニカ
  • エリンとモーヴ
  • セレステ
  • マンダ・リン
  • ガンメタル


トリビア[]

  • "roman holiday"という言葉は他者が苦しむ様を見て楽しむことを示す慣用句である。
  • "Roman Holiday"というタイトルは1953年の映画ローマの休日(原題:Roman Holiday)にもかかっていると考えられる。
  • 本作の発売前、著者のMyersはニオとローマンが恋愛関係に発展していくことを支持している[2]
  • 著者によるとニオとローマンの年齢差は約10歳である[3]
  • 本作に登場するローマンの犯罪計画案のいくつかはRWBY Chibiから取られている。また、それらを見たニオがローマンの事を"Dum-Dum"(「お馬鹿さん」のような意味)と表現しているが、これはRWBY Chibiでニオがローマンの事を"My Dum-Dum"と呼ぶことにかかっている。
  • 本作のドラフト版では、ローマンが人を脅すセリフで"Have you ever wondered what a pinata feels like?"(ピニャータはどういう気分なのかと考えたことはないか?)というものがあったが、最終的には"Have you ever wondered what it feels like to be a punching bag?"(サンドバッグになったらどういう気分だろうと考えたことはないか?)というセリフに変更された。これは、レムナントにはピニャータが存在しないためである[4]
  • 本作に登場するコーヒーの強奪計画は、Myersが睡眠不足であったことと、Rooster TeethがKing's Coast coffeeとのコラボレーションでコーヒー豆("Mistral Mountains Huntress Blend")を販売したことをヒントに生まれたアイデアである。また、Myersが執筆したチームCFVYを主人公にした2作に少しだけかけているとのこと[5]

参考文献[]

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