アダム・トーラス(Adam Taurus)は、RWBYに登場する敵役である。初登場は"Black" Trailerで、ホワイト・ファングの任務としてブレイク・ベラドンナと共にダストの輸送列車を襲撃した。ブレイクとは同組織におけるパートナーであり恋人関係でもあったが、トレイラーの最後に列車ごと切り離され、関係を解消された。本編では"Breach"で正式に登場した。武器はウィルト・アンド・ブラッシュと名付けられた剣とライフルのセットで、ライフルは剣の鞘も兼ねている。
本編の初期の時点ではホワイト・ファングのヴェイル支部のリーダーであり、その後クーデターを起こして当時の最高指導者であったシエナ・カーンを殺害、自身がその地位に就いたが、"Haven's Fate"での敗戦により失脚する。ホワイト・ファングを追放されてからは元恋人であったブレイクに執拗につきまとい、最後は彼女とヤン・シャオロンの反撃に合って、胸と背中を刺されて死亡した。
外見・衣装[]
アダムは長身の男性で、赤い短髪を無造作に後ろに流している。ファウナスとしての身体的特徴は頭の両側に見える2本の角で、おそらく雄牛のものと思われる。外見上の特徴として、顔の上半分を覆うマスクをしている。
マスクを外すと左目の上からシュニー・ダスト・カンパニーを意味する"SDC"の焼き印を入れられていることが分かる。青い右目とは異なり左目は充血して虹彩も灰色になっており、眉毛も焦げている。
初期(Volume 1~4)[]
アダムはスリットの入った黒い長袖のトレンチコートを着用している。左側には赤の柄と白のデザインが入っている。裏地は赤く、裾の部分に赤色の装飾があり、背中には白い花と赤いしおれたバラのデザインが入っている。コートは半ボタン式で、襟に平行に黒いラインが入った赤いアンダーシャツが露出している。
マスクは白っぽく、赤い和風の柄が前面に入っており、視界を確保するためと思われる2本のスリットが入っている。ホワイト・ファングの多くのメンバーが着用しているグリムのマスクの別デザインのようである。
黒のパンツ、ソール部分が赤い黒の靴、ドミノ柄の黒のベルトをつけている。また手の甲部分に赤のエンブレムが入った黒のグローブを着用している。エンブレムはギリシャ文字のΩの変形のように見える。
彼の衣装は基本的に黒と赤で構成されており、ルビー・ローズと同様の色使いである。
過去(Volume 6 Adam Character Short)[]
ダスト加工施設のシーンではジャケットの表地は黒一色で、グローブの赤のΩのエンブレムも見られない。護送車を襲撃した人間達と戦うシーンでは、ジャケットのしおれたバラのデザイン左胸の白いシンボルマークが追加されている。その後の、シエナ・カーンやイリア・アミトラと共にSDCを襲撃するシーンではジャケット左胸の赤い花や背中の白のデザイン、そしてグローブのエンブレムも追加されており本編初期の衣装と同じものになっている。
ミストラルでの衣装(Volume 5~)[]
ミストラルで登場した際は衣装が変わっており、上着は黒とグレーで構成されたぴったりとしたダブルのジャケットになっている。ジャケットの裏地は以前と同じく赤で、長めの裾が腰を覆っている。また、襟は立てており全体的に軍人のような出で立ちとなっている。左胸と腕の部分にはファスナーが付いており、袖口は黒くなっている。
ズボンはジャケットに合ったグレーのもので、左の太腿には赤茶色のベルトを巻いている。ジャケットの背中部分にはしおれた赤いバラと白いつる性の植物の装飾が入っている。靴はソールが赤い、黒のブーツである。
その他、黒のグローブと腰に交差して巻かれた赤茶色のベルトを身に付けている。ベルトの左側には武器を吊っており、右側には赤で縁取りされ植物の装飾が入った黒い布地を垂れ下げている。
ヘイヴン・アカデミーでの戦いに敗れたあと、彼はマスクを外し、代わりに黒い目隠しを身に付けるようになった。
イメージギャラリー[]
人物[]
シュニー・ダスト・カンパニーで働いていた頃に非人道的な扱いを受けたことで人間に対して強い憎悪を抱くようになり、ホワイト・ファングに居場所を求めるようになった。そこで彼は自分の実力が抜きん出ていることに気付き、力を振るうことを覚えた[1]。
Volume 6 Adam Character Shortでは、当初アダムは悪人らしい要素はほとんど見られなかった。彼はギラ・ベラドンナを守るためにやむを得ない場合を除いて、襲撃してきた人間を殺さなかった。しかし、この時シエナからヒーローとして称賛されて以来、彼は相手を殺す事が増えたようである。その後のシーンではブレイクを味方に付けていく様子が描かれている。アダムが暴力性を増していることについてブレイクが非難したとき、彼はブレイクの両親がホワイト・ファングを抜けた話を持ち出してブレイクを怒らせ、その後、彼女が離れていってしまうことが怖かったと話すことで弱みを見せて彼女の心を揺さぶっている。"Black" Trailerの頃には、アダムは人間の生死についてほとんど気にしなくなっている。
ブレイクは当初、アダムのやっていることは世界をより良くするために仕方の無いことだと考えていた。しかしブレイクは、彼の求める未来は全員が望むようなものではなく、アダムがその活動の中で怪物と化しているということに気付いた。"Necessary Sacrifice"では、ブレイクはアダムを表現する言葉が時と共に変わっていき、まず最初は「正義」(Justice)、次に「情熱」(Passion)、そしてついには「悪意」(Spite)であることに気付いたと述べている。
アダムは強い野心を持っている。彼がシエナに語った、人間との戦いに勝利し彼等をファウナスに従わせるという野望や、シエナを殺してその地位を奪ったことからもその事が表れている。
"Beginning of the End"では、アダムは自分達の主義や部下たちの命を重視し、シンダー・フォールからの協力要請を断っている。またこのとき、道を外れたハンターを雇えばいいと皮肉を言ったことから、彼がハンターを嫌っている可能性が示されている。その後、シンダーの二度目の来訪時にはダストやリエンの提供、そして彼女の脅しのために渋々協力関係を結んでいる。"The Next Step"でのセイラムの言葉によると、彼はこの協力関係を忠実に守っているようである。
"Heroes and Monsters"では、アダムの冷酷な性格が露わになった。彼は人間に対する裁きを執行するという目的を阻む者であれば喜んで切り捨てる姿勢を見せている。さらに彼は執念深い性格で、ホワイト・ファングやアダムから離れていったブレイクを苦しめることに喜びを感じている。その結果彼はブレイクが愛するもの全てを破壊するとまで宣言している。
フェネック・アルベインによると、アダムはホワイト・ファングを率いることのストレスやブレイクへの執着心のために、次第に感情的になることが増えた。"Downfall"ではこの事がよく表れた行動を取っている。彼は敗色濃厚になったことで自棄になり、自分やホワイト・ファングの仲間達の身の安全も無視し、仕掛けた爆弾を全て起動しようとした。この頃には、アダムはかつての自分達の理想や仲間達の命を重要視していた人物ではなく、後先を考えずに自らの欲望を満たしたいだけの人物になっていることが分かる。
ヘイヴンでの敗戦のあと、アダムはさらに暴力性を増している。彼はホワイト・ファングの本拠地に戻ったあと、自分を非難し、もはや従う姿勢を見せない隊員たちを皆殺しにしている。ホワイト・ファングの指導者という立場や人間達を屈服させるという野望を失ったことで、以降のアダムはブレイクに対する復讐心のみに従って行動するようになる。その後、彼は数週間にわたってブレイクの後を追い、彼女を狙う機会を伺っていた。"The Lady in the Shoe"でアダムは、ブレイクに捨てられたことで人間達に受けた仕打ちよりも深く傷つけられたと語っている。
"Seeing Red"では、アダムはブレイクとヤンの親密な関係を見て明らかに苛立ち、ブレイクがヤンのどこを気に入っているのか分からないと嘆いた。結局、頭に血が上ったアダムはヤンの狙いに気付くことができず、その事が彼の運命を決定付けることになった。
技能と力量[]
アダムは卓越した剣術能力を持っており、アトラシアン・ナイト-130を一瞬で切り捨てることができる。特にアダムは居合術を好んで使用している。また、彼は戦いの際に蹴りを使うことが多々あり、格闘技術も持ち合わせていることが分かる。ブレイクとヤンの二人は最終的にアダムとの戦いに勝利し彼を殺しているが、この戦いは3人ともオーラを消耗し切る際どいものであり、アダムの実力はブレイクとヤンの二人を合わせたものと伯仲していたと言える。
アダムは超高速で剣を振るって無数の銃弾を弾き落とすこともできる。また、剣を投げる、あるいは蹴り飛ばして飛び道具のように使うこともある。
アダムは暴力的な側面が目立つ一方で知性も兼ね備えており、計略を考えることが得意である。特にホワイト・ファング指導者の地位簒奪については計画通りに成功させている。また、言葉によって他人の心理を揺さぶることに長けており、それによって多くの者から信望を得ている。この技術は戦いの場でも生かされており、相手の心の弱みを突くことで精神的に優位に立つことができる。
武器[]
- メイン記事:ウィルト・アンド・ブラッシュ
アダムの武器は赤い刀身の刀とライフル銃の機能を持つ鞘のセットであるウィルト・アンド・ブラッシュである。
センブランス[]
- メイン記事:ムーンスライス
アダムのセンブランスは相手の攻撃のエネルギーを武器で受け止め、それを赤いエネルギーの形で放出して返すムーンスライスである。また、吸収したエネルギーを利用して自身のスピードを高めたり攻撃の威力を上げることもできる。相手の攻撃を無効化しつつ自身の攻撃に利用できる強力な能力ではあるが、攻撃を武器で受け止める必要があるため素手の状態では全く使用することができない。
トリビア[]
- アダムは美女と野獣のキャラクターである野獣、あるいはガストンをコンセプトに作られたキャラクターである。
- ヘブライ語ではAdam (אדם)は男を意味する。また、Adom (אדום)は赤を意味する。アダムという名はこの2つの意味が込められていると考えられる。
- 姓の"Taurus"はラテン語で雄牛を意味する。
- アダムのマスクにある2つの赤い角の模様は雄牛を彷彿とさせる。
- アダムの年齢は不明だが、2016年のLondon Comic ConのRWBY panelでは、Arryn ZechとBarbara Dunkelmanはアダムの年齢について20代前半ではないかと話し、23歳と予想している[2]。
- アダムとルビーは見た目の色使いやバラの花のエンブレムなど共通点が多いが、Monty Oumによるとこの二人には特に関係性は無い。エンブレムについてもルビーの場合は花弁が散り広がるイメージで、アダムは花が萎れているイメージという違いがある[3]。
- 皮肉なことに、作中ではルビーとアダムが顔を合わせることは一切無かった。
- 多くのファウナスの衣装は、そのファウナスの動物的特徴に合わせたものになっていることが多い。アダムのVolume 5での衣装ではベルトから布が垂れ下げられているが、これは闘牛士が持っている赤い布をイメージしたものだと考えられる。
- ブレイブルー・クロスタッグバトルではハザマのカラーの1つにアダムに似せたものがある。なお、この二人の声優は共に中村悠一である。
- アダムが死ぬシーンは、ニーア オートマタに登場する機械生命体のアダムが死ぬシーンと似ているという指摘がある。Kerry Shawcrossは、ルビー達とコロッサスとの戦闘シーンについてはニーア オートマタの最初のボス戦を参考にしたことを認めたが、その頃はまだニーア オートマタを1時間しかプレイしていなかったためアダムの死に様が似ているのは全くの偶然であると言っている[4]。
参考[]
- ↑ RWBY: Amity Arena Moonslice Adam Card Bio
- ↑ MCM London Comic Con 2016: RWBY Panel
- ↑ Monty Oum's Twitter
- ↑ RWBY Volume 6 Blu-ray Director's Commentary